写真を仕事にする。プロになりたい人のためのワークガイド
理想とする写真家像を見つめる
目次
撮影に対する熟練度が上がってくると、「写真をもっと楽しみたい多くの方に見て貰いたい」と考えるようになります。短期間でより効果的に本格的な写真家・フォトグラファーを目指すには何が必要となるでしょう。デジタルカメラが普及する現在では写真家は3つに大別することができます。「職業写真家(プロジェクト型)」、「SNS(ソーシャルメディア)型」、「ストックフォト(販売)型」です。あなたが写真や撮影に対し真剣に考える際のチェックポイントとして役立ててください。ここでは3つのモデルに添ってわかりやすくご紹介いたします。
1.職業写真家(プロジェクト型)
いわゆるプロ写真家であり企業やお客様などのクライアントのニーズに合わせて写真撮影をします。商業写真やウェディングフォトグラファー、ポートレートフォトグラファー、ペット撮影など多岐にわたります。プロジェクト型への王道は写真専門学校などを出て、あなたの好きな写真家に師事して基本的な技術を磨くことです。
この状態を具現化してしまえば、あなたも晴れてプロ写真家と名乗ることができますが、あなたの好きな被写体やロケーションで常に撮影できるわけではありませんし、今は雑誌が売れない時代なので今までのように写真家・フォトグラファーに多くの仕事依頼が来るかは未知数です。
また、ある程度年齢を重ねてからこの方法を取るのは色々難しい部分があるかなと思います。ただ、写真を趣味とする方々にとっては憧れの存在であり続けています。
2.SNS(ソーシャルメディア)型
写真を撮影しても誰にも見せないで自分だけで楽しむ方法を取ることができます。しかし、どうしても技術の上達の面では一人よがりになってしまいがちです。そこでおすすめしたいのが、このSNS(ソーシャルメディア)に投稿するスタイルです。
なにより、あなたの撮影した写真を他者に見て貰うことで上達への近道となりますし、その場所で結果を積み重ねてゆけば、自然と写真家の仲間入りをすることができます。筆者も、このSNS(ソーシャルメディア)型のフォトグラファーからスタートしました。
どの世界でも毎日コツコツと努力を積み重ねられる人には、どんな天才でもすぐに追い抜かれてしまいます。「自分には時間がない。写真専門学校で学んでいない。才能がない。経験がない。」と嘆いている暇があるのなら、とにかく撮影しアップしてみましょう。
継続は何物にも勝る財産です。この方法を取れば、あなたの周りには写真で繋がる友人ができるはずです。是非、その過程を楽しんでゆきましょう。
3.ストックフォト(販売)型
ある程度の撮影の技術や自信が身についた場合には、カメラ代はカメラを使って稼ごうという考えが生まれてきます。その際に役立つのがこのストックフォト(Stock Photo)のシステムです。あなたは、あなたの感性・感覚を使って写真で収益を得ることができるようになります。
ストックフォトを販売しているウェブサイトは多数あり、代表的なのではGettyImages(ゲッティーイメージズ)やi stokやアマナイメージズなど多種多様です。もちろん、販売を初めて収益を得るには仮説→実行→検証→改善のPDCAサイクルは忘れずに。
筆者は、写真専門学校などを出たりプロ写真家に師事をしたとしても結局は自分自身で稼がなくてはならないと考えるゆえ、このストックフォトでビジネス感覚を磨くのは有意義だと考えます。ストックフォトに写真をアップロードするのが面倒な場合には、あなたのポートフォリオサイトを公開して、そこで販売する手段も取れます。SNS(ソーシャルメディア)型×ストックフォト(販売)型も1つの融合スタイルです。
4.フォトグラファーとしての運用プラン(事業計画)を立てよう
筆者はGoogle株式会社が行うプロジェクトのCool Japan on Google+という広告キャンペーンに依頼を受け参加しています。このプロジェクトは365日かけて写真を投稿する必要があります。それゆえ、運用スキルを同時に高める必要があったため、ぼんやりとしていた行動基準や運用プランに対し、アイディアや取り組みを具体的な撮影プランへと書き出す必要がありました。
プロジェクト型として写真に携わっている身分ではないため、撮影日なども限られています。そこで撮影プランを書き出すことで、何を撮影したいのか? 何を届けたいのか? というゴールがはっきりとし、プロジェクトの目標達成に必要な戦略を明確にすることができます。
例えば、あなたが週末だけ撮影できるフォトグラファーであった場合、週1×月4×年12=48回の撮影回数となります。この回数内で365日分のエンターテイメントを具現化する必要があるのです。このようにゴールから逆算することによって、撮影するべきものが見えてきます。
5.検証→分析→改善→検証のサイクルを確保
写真や撮影に簡単に上達する秘訣はありません。撮って撮って撮りまくることです。そして、ひとつひとつ構図や撮影技法や現像テクニックなど本当の効果をチェックするために実際に試してみなければ分かりません。
そこで重要となるのが、検証→分析→改善→検証の工数を最初から確保しておくことです。あなたが学んだ撮影技術やテクニックを総動員して、改善を加えることで、素晴らしい1枚を撮影できるようになります。
ただ、写真家・フォトグラファーを目指すことに一生懸命になりすぎて、撮影を楽しむことができなくなってしまっては、せっかくカメラを手にした意味が無くなってしまいます。是非、当初の目的や想いを忘れずに、あなたとカメラとその繋がりの方々との時間を楽しまれてくださいね。そうすれば、きっとその先にはあなたの望む姿が見えてくるのですから。
朝野太枝子
私は73才、散歩しながら摘んだ花を撮っています。
きっかけは3年前息子からもらったお下がりのスマホです。写真てどうやって摂るの?と知り合いの写真家に聞いたら
好きなだけ好きなものを撮れ
といわれました。