日本語を活かす3種類の「漢字、平仮名、片仮名」による写真タイトル表現手法
日本人の感性
目次
私たち日本人は「漢字、平仮名、片仮名」という3種類の文字体系を駆使しています。撮影者としてだけではなく表現者としての道も歩み始めると、「写真」だけではなく「タイトル(画題)」や「キャプション」にも意識を向けるようになってきます。つまり、言葉の力です。「言霊」とも言えますね。そのため筆者は日本語の表記体系を理解し、3種類の文字体系を使いこなすことが日本人特有の表現に繋がると信じています。あなたの個性や感覚を伸ばすため、分かりやすく解説してますのでご覧ください。
1.現代日本の3種類の文字体系
- 漢字
- 平仮名(ひらがな)
- 片仮名(カタカナ)
1-1.漢字
漢字は中国の影響を受けて一番初めに伝わったとされる「表語文字」です。国字と呼ばれる日本で造られた漢字も追加されています。漢字は世界でも珍しい「表意文字」であり、見た目だけで意味までも伝えることができるのが特徴で、分かりやすい解釈しやすいという点が大きな魅力となります。
1-2.平仮名(ひらがな)
平仮名は漢字の草書体より日本で作られた表音文字(音節文字)です。平安時代に女性貴族が使い始めたことがきっかけで「女言葉」あるいは「やまとことば」と呼ばれました。漢字だけで全てを表現することは難しいため、平仮名や片仮名が利用されてきました。
1-3.片仮名(カタカナ)
片仮名は漢字の一部を省略表記して日本で作られた表音文字(音節文字)です。男性が使うことが多く「男言葉」と呼ばれていました。現代では外来語(外国の地名や外国の製品名)などは最初から片仮名表記として見かけることができます。
2.漢字・平仮名・片仮名の持つイメージ
2-1.漢字の持つ表現力
写真の視聴者に「写真展タイトル」「タイトル(画題)」「キャプション」を通し堅くて真面目な印象を与えたい場合には漢字が有効です。漢字で書かれているだけで誠実さやしっかりしているという感覚を提供することができます。誰もが知っているような単語はできるだけ漢字を使うのが重要です。
2-2.平仮名(ひらがな)の持つ表現力
写真の視聴者に親しみを感じて欲しい場合には平仮名(ひらがな)が役立ちます。平仮名は子供でも読むことができ、読み手が難しい漢字に構えることもストレスを感じさせてしまう欠点も補ってくれる特徴があるからです。ただし、意味もなく多用し過ぎると文章や単語から軽い印象になり信用を下げてしまいます。
2-3.片仮名(カタカナ)の持つ表現力
写真の視聴者に斬新で躍動感を与えたい場合には片仮名(カタカナ)が優れています。例えば、「自画像」と「セルフィー」では意味は変わりませんが言葉の重みや感じ方が変わってきます。作品に対して重みを持たせたい場合には自画像が適していますし、目新しさを与えたい場合にはセルフィーと印象を大きく変えることができます。
3.使い分けはターゲットを絞り合わせる
表現者として漢字、ひらがな、カタカナの使い分けは「ターゲットを絞り合わせる」のが基本です。それでは、次の3つの表記をご覧ください。表記方法が異なるだけで受け手に与える印象を大きく変えることができるのです。
- 良い夢を
- よいゆめを
- ヨイユメを
ターゲットに分類すると「良い夢を」が誠実さを好む年配者向け、「ヨイユメを」が斬新なイメージとして受け取ってくれる若者向け、「よいゆめを」は優しさを求める女性向けというのが目安となります。ここでは3番目のひらがなを選びました。
4.何をどのように魅せるかに合わせる
表現者として言葉や単語の力を必要とする部分は写真展タイトルやタイトル(画題)やキャプションとなります。「その作品をどのように魅せたいか」をしっかりと考えると、3種類の文字体系から何を選べばいいかを決めることができます。
例えば、真っ直ぐで手堅く印象付けたい場合は「良い夢を」と漢字表記が合っています。日本からではなく世界から作品を発信している表現者なら「ヨイユメを」とカタカナ表記がクールだなと感じます。子供や女性向けに穏やかなイメージを伝えたい場合は「よいゆめを」とひらがな表記が適しています。
5.現在のトレンドは「片仮名(カタカナ)」
外来語を表記する機会が多い「片仮名(カタカナ)」は、最近ファッションの世界で注目されています。海外ブランドを中心にデザインやプロモーションやマーケティングに用いられるケースが増えています。中にはカタカナで表記されることに違和感を抱くものもありますが目新しさや字体にインパクトがあり、「お洒落」「可愛い」「クール」と映っているようです。今後、写真関連の製品や写真展などに用いられることも増えていくことでしょう。
最後に
撮影者としてだけではなく表現者として漢字、ひらがな、カタカナの使い分けをしていくことは強い個性に繫がり、あなただけの世界観を描写する手段として役立ちます。人真似ではなく自分自身で意識してコントロールすることができるようになれば表現の幅は広がっていくのです。
タイトル(画題)に対する視聴者の反応によって、この作品は漢字、ひらがな、カタカナのどれがいいのか判断できるようになろうと時間を進めてみるのも良いですね。全てをマニュアル化できるわけではなく経験を要する地道なトレーニングですが、何度も繰り返し行うようにするとできるようになってきます。
是非、日本人の表現者としての優位性を3種類の文字体系の中で表現し届けてください。楽しみにしています。