現実を超える魔法のHDR (ハイダイナミックレンジ) 撮影

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魅せる写真撮影テクニック

3月 14 2015

創造する

　HDR撮影は肉眼に近い映像の効果を得るために大きな役割を果たしてくれます。なぜなら、人間の眼はカメラに比べとても優れていて、どのようなメーカーの機種や最新かつ高級な製品よりダイナミックレンジが広くつくられているからです。今回は、HDR撮影を簡単かつ楽しみながら行なえるノウハウをご紹介します。

HDR (ハイダイナミックレンジ)とは何か

　HDRとは、High Dynamic Range imaging (ハイダイナミックレンジ)の略で、空や太陽など明るいところが白くなってしまった露出オーバーの写真や、暗部がつぶれ露出不足となってしまった写真を合成し、見た目に近い画像を作成する技法のことです。この技術を使うことで通常のダイナミックレンジより広いダイナミックレンジで表現することができます。

HDR機能が現実を超える

　デジタルカメラの撮影素子は認識できるダイナミックレンジの幅が狭いため、明暗差の激しい太陽など日の出の撮影などは明るい部分と暗い部分のどちらかを優先した極端な描写になってしまいます。このカメラの弱点を補えるのがHDR機能となります。HDR撮影によって現実のダイナミックレンジを超えた写真や、よりドラマティックな情景として1枚に込めることができます。

必要な機材とソフトウェア

　HDR撮影を行うのに必要な機材は下記3点です。筆者は主にCANON EOS 5D Mark III に備えられているHDR機能を活用し撮影していますが、HDR機能が付いていないNIKONのカメラの場合にはHDR作成ソフトを利用し撮影してきました。写真を複数枚合成するため、三脚があった方がブレやゴーストの軽減に役立ちます。

オートブラケット機能がありRAW撮影できるカメラ（JPEGでも問題ありません）
HDR加工ソフト
三脚（手持ちでも撮影することは可能です）

HDR画像作成の代表的なソフト

　デジタル一眼レフカメラにHDR機能が付いていない方でもHDR撮影を諦める必要はありません、ご安心ください。下記の代表的なPhotomatix Proたった1本で解決させることができます。筆者も無料体験版をダウンロードした後、購入しました。自然な風合いから絵画調、または超現実的なスタイルなど、さらに調整をして思い描いたイメージを創り出せるのです。

HDR撮影が向いてる被写体

　HDR作品では複数枚の写真を同じ構図で合成します。人や車など動く被写体が多く含まれる場合には基本的には向いていません。背景が透けた半透明な状態で現れてしまい、これをゴーストと呼びます。ただ、HDR撮影に慣れた方はこのゴーストも表現の一部として取り入れています。

動きが無い被写体
明部と暗部が存在する夕景や夜景など
精密機械や建物など凹凸がありディテールがある被写体

HDR写真の作り方

１．HDR合成用の写真撮影

　ブラケット撮影をし良質なHDR合成結果を得るためには撮影の段階から意識しなくてはなりません。撮影シーンのハイライトとシャドウを十分に情報として取り込むために、下記イメージの様に露出を変えて複数枚撮影する必要があります。

１－１．露出設定のポイント

　Photomatix Proを利用する際の大半の風景、その他の野外でのシーンは2-EVステップ (-2、0、+2EV) の3枚の露出撮影、または1-EV (-2、-1、0、+1、+2) の5枚の露出撮影が基本的に望ましい方法です。

２．PhotomatixでHDR画像生成

　同じ構図で複数枚の写真をブラケット撮影しておけば、ハイライトが激しい雲のディテールや暗部の力強い葉のイメージを両方とも再現することができます。Photomatix Proはこのような難しいシーンでも色彩、ダイナミックレンジに富んだ作品作りが可能です。

３．RAW現像ソフトで調整して完了

　HDR合成ソフトPhotomatix Proや筆者のようにデジタルカメラの機能として備えられているHDR機能を活用した場合も、RAW撮影をしておけば各社が提供するRAW現像ソフトやAdobe PhotoshopやLightroomなどでノイズや明るさなどの微調整を行うことができます。RAW撮影がよくわからないという方は次のページを参照してください。>>「写真をはじめたら覚えたい撮影テクニックサイト 21 選」。

HDR撮影に役立つ解説サイト

　HDR撮影で作品つくりを楽しみたい方や、より詳しく体得したいは次のサイトの解説が役立つはずです。HDRの基礎からソフトの使い方まで体系的に理解する事ができます。

最後に

　技術の1つとして通常撮影の写真だけではなく、HDRが私たち写真家にもたらす技術は非常に素晴らしいと思いますし、今も進化の途中だと思います。近い将来、さらに広いダイナミックレンジを捉えられるデジタルカメラが開発されるかもしれません。HDR作品の多くは強烈で均一的な写真ばかり多いようで気が引けている方もいるかもしれませんが、この記事の桜の写真のように、繊細さや見た目に近い創意工夫を行うことに優れた手法でもあります。