近未来と今から考察する写真作家(フォトアーティスト)の役割
これからの写真
目次
あなたがフォトグラファーとして今行っている撮影がどこにどうつながり、作品がどのように貢献しているのかを知るには、自分なりの価値観や世界観を見つめ持つことが重要だと考えます。ここでは、近未来に起こる技術的特異点を例に取り、筆者が写真作家として自分自身が担っている役割の意味を自覚し、それを実現するためには何をすべきかを明確にするための1つの見解やものの見方をご紹介します。
人工知能とアート
17世紀の画家、レンブラントが現代に新作を生み出した。それは「人工知能 (AI)」によって。絵画の題材や筆づかい、筆圧、色合い、癖までも見事に表現しているようだ。アートやクリエイティビティは人間優位だった時代はすでに過ぎている。最新テクノロジーが創造性を発揮しアートまで進んできたということだろう。論理的な思考を必要とする囲碁でも、世界チャンピオンは最先端技術を進歩させたAlphaGoに負けた。おそらく、羽生さんもいずれ負けてしまうだろう。仕方ない。
技術的特異点 (Technological Singularity)
約30年後、2045年の「技術的特異点」には人工知能が超知性となり、世界中で今では考えられないようなパラダイムシフトが起こっているはずだ。写真とは何だろうと考える。今やっていることはその時代からすれば古臭く、人工知能が簡単に風光明媚な写真を生み出すことも可能だろう。現存していない写真家の新作も今回のように作られる公算が大きい。
シンギュラリティ (Singularity)
技術的特異点(ぎじゅつてきとくいてん、英語:Technological Singularity)、シンギュラリティ(Singularity)とは、人工知能が人間の能力を超えることで起こる出来事とされ、テクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうとする未来予測のこと。未来研究においては、正確かつ信頼できる、人類の技術開発の歴史から推測され得る未来モデルの限界点と位置づけられている。
上手さよりも体験
Amazonの配達ドローンが物流を根本的に変えようとしているように、その頃は世界中の空に無人機が飛んでおりアクセスするだけで、そこからの映像を眺め撮ることができるはずだ。写真家の創造性とは何だろう。先日、新宿でVRを体感したが、おそらく近未来は現実と仮想現実の区別が無い世界になっているのだろうと思う。それならば、今の写真に対して何を求めるべきかと考える。すなわち、私にとっての写真家とは「体験」だと結論付けることができる。今を体験すること。それが一番重要となるはずなのだ。
Amazon Prime Air
写真作家(フォトアーティスト)の役割
「記録写真」と「作品」の違いから理解する3つの基本概念で執筆していますが、写真には3つの機能的効果が備えられています。その3つとは「記録」、「伝達」、「表現」です。福島や熊本の被災地に住む方々は大地震以前の穏やかだった日常の姿はもう感じることはできません。その頃の写真を嬉しく懐かしく思う方はたくさんおられるはずです。ゆえに、写真は時間軸を過去・現在・未来に置くかだけでも大きく評価は変わってくるのです。写真作家の大切な役割とは、自分の目線で今を精一杯体験すること。写真として形に残し心の琴線に触れられるように表現し伝えることが重要となるのだと感じています。
大衆性に捕われずに体験・好きなものを撮り・創造性を重視
写真作家 (しゃしんさっか)
写真作家(しゃしんさっか)は、写真を創作活動のための表現手段として主体的に用い、一貫したテーマ性を持った作品の発表を継続して行うことで一定の社会的評価を得ている写真家、芸術家。撮影技術によって生計を立てる目的で一定レベルの写真制作を行い評価される職業写真家(フォトグラファー、カメラマン)とは区別され、ゆえにフォトグラファーとしてすでに認知された者がより主体的な作品発表を行う場合の肩書きとして自称することがある。
写真家 (しゃしんか)
写真家(しゃしんか、フォトグラファー(英: photographer))とは、主に写真を撮影もしくは製作する事を生活の中心にしている人。カメラマンと区別して写真家と呼ぶ場合、動画ではない写真を撮影する人をさす場合や、特に芸術的な写真を撮影し発表する人(芸術写真家)を指す場合がある。
カメラマン達の未来
プロ・アマ問わず世界から人々を驚かす写真が集まるNational Geographic(ナショナルジオグラフィック)も、体感的には去年からドローンによる空撮がとても増えたと感じています。近未来は、「まだ自分で撮ってるの? AIの自動操縦や撮影で任せた方が機能・ロケーション・季節・天候・時間など最高の条件で撮影できるのに」という時代が訪れるのだろうと思います。車にも人工知能が搭載され、そろそろ自動運転が本格化されますものね。ゆえに、撮ること・乗ることなど今を体験することこそが重要なのだろうと考えています。
天使か悪魔か羽生善治 人工知能を探る – NHKオンライン
参考URL
最後に
もしかしたら、近未来の強いAIであれば人が記憶した体験さえもダウンロード可能かも知れない。他者が記録した情報を体験したり具現化することもできるようになるのかも知れません。例えそうなったとしても、自分が何を見たいと思い行動し何を見てどのように感じたのか。その中での伝えたい想いや自分らしさとは何かを表現できるのは、写真作家(フォトアーティスト)としての有意義な行動基準だと考えます。これからも、筆者に関わってくれたあなたや皆様に、写真や記事を通し価値を提供することを目的に、「FUURYUU / 風流」に1人の写真作家としての体験と世界観を表現してゆきたいと心に留めています。