北鎌倉、豊かな自然環境に恵まれた円覚寺で坐禅体験
坐禅会
目次
撮影者として、その場所に行きただ見て写すだけでは、本質は写せない。五感を使って体験してみることが自分だけの表現に繋がる。伝える力を伸ばす為には体験すること以外、他ならない。外側ではなく自己の内側を眺めることによって自分だけの1枚を表現できる。そのように考え、以前から興味のあった坐禅体験へ神奈川県の北鎌倉にある臨済宗大本山、円覚寺(えんがくじ)に足を運びました。今もなお中世の雰囲気が残る貴重な場所です。
北鎌倉、円覚寺の日曜坐禅会に参加
世界文化遺産を目指す鎌倉や寺院では、週末などに気軽に坐禅を体験する事ができます。円覚寺には「居士林」(こじりん)という在家修行者の為の歴史のある修行道場があります。境内には現在も禅僧が修行をされており、毎週土曜・日曜日には、一般の人も参加できる土日坐禅会が実施されています。かつて、夏目漱石や島崎藤村、三木清もここに参禅したことが知られています。全くの初心者でも気兼ねなく体験しやすい坐禅会です。
「ぼくの坐禅スタイルはやっぱこれだにゃ~」と示してくれた円覚寺のゆる猫
円覚寺の日曜坐禅会に参加する場合の注意点
坐禅(座禅)とは仏教で姿勢を正して坐った状態で精神統一を行う、禅の基本的な修行法です。あくまで撮影者として参加するのではなく、坐禅を取り入れたい1人の人間として時間を過ごすことになりますので一定のルールがあります。円覚寺の日曜座禅会の場合は下記のルールが記載されています。
日曜坐禅会
- 開催は毎月第1・第3・第5日曜日
- 坐禅・作務のしやすい服装(トレーナー・ジャージ・運動着等、体を締め付けない衣装)
- 8:00 総門の開門とともに入場(初めての方には8:10~坐相と作法の説明)
- 8:30〜9:30 横田南嶺管長「盤珪禅師語録」提唱、または坐禅
- 9:30〜9:50 坐禅(終了後に片付け・掃除)
- 坐禅前や坐禅中に撮影したり騒ぐのは禁止
円覚寺の拝観時間は早朝の8時からとなっています。私のような初心者の方には、8:10~20分の間で、足の組み方などの説明があります。予約は不要です。どなたでも自由に参加できます。座禅に参加する当日は300円の拝観料を納めて円覚寺へと入山し、大方丈(おおほうじょう)に向かいます。
ついに、念願の坐禅を体験
予定時間になると、日曜坐禅会の会場である大方丈の中へと案内されます。大方丈は各種法要の他、坐禅会や説教会、夏期講座等の講演会や秋の宝物風入など、多目的に使われています。坐禅を行う道場の中へ入る前には靴下を脱いで裸足となります。初めて参加される方の場合には、熟練の参加者の方々とは別の部屋を通されます。坐禅における座り方や体の使い方や姿勢などについて10分ほど説明をしてくれます。
坐禅の流れ
- 坐禅を行う「大方丈」に入る前に靴下を脱いで素足となる
- 初めての場合、坐相と作法の説明
- 自由な坐禅の時間を含めても約2時間で終了
- 「警策(けいさく)」で肩を打たれる貴重な体験も可能
豊かな自然環境に恵まれた円覚寺で精神統一
およそ午前8時~10時までの2時間を坐禅に費やします。私にとっては坐禅は初めての体験でした。始めに熟練の方々とは異なる部屋に通され、指導者の方に坐相と作法の説明を受けます。身が引き締まる思いです。撮影者は見て感じたものを表現します。しかし、坐禅の場合には外側を見るのではなく自分自身の内側を見つめます。本質を求めるにはなにより大切なことです。
日曜坐禅会では体を整え姿勢を正し呼吸に意識を向けます。それは、過去でも未来でもなく今に生きるということだそうです。まだ肌寒い気候の中での精神統一でしたが、多くの方が集まり同じ想いで時間を共有していました。日本文化に興味を抱かれている外国人の方も多くおられました。
鶯(うぐいす)の鳴き声や太鼓の音、お香の匂い、皆で唱え道場に響く般若心経など、普段ではなかなか味わうことができない貴重な時間となります。座禅をすると、より五感が鋭くなっていく気分がします。新鮮な気持ちになれるのです。自分自身を見つめ直したい方におすすめです。
ご案内
円覚寺 坐禅会のご案内
http://www.engakuji.or.jp/zazen/
[電車でお越しの方]
東京/横浜より:JR横須賀線「北鎌倉駅」下車徒歩1分
※JR東海道線・湘南新宿ラインご利用の場合は「大船駅」にてJR横須賀線に乗り換えてください。
アクセス
最後に
何事も体験するまでは「理解している」「分かった」「できる」とは決して言い切ることはできません。機材や被写体やその場所に依存しているようでは他者が簡単に真似することができます。綺麗な写真なら誰でも撮れるのです。自分だけしか表現できない1枚とはどのようなものだろう。今回、そのような想いを胸に向かった円覚寺。
実際に円覚寺流の座禅を体験したことで感じ得るものがありました。禅僧の方々に共鳴する部分も多々発見することもできました。私は1人の撮影者として1人の日本人として、より日本文化を味わい表現したい。当初の目的を再認識し、日本人としてのアイデンティティを持ち世界と接していきたいと考えます。
座禅も撮影者としてもまだまだです。少しずつ、より良い表現をできるように、これからも取り入れ時間を進めてゆきたいなと思います。デジタル時代の写真撮影には撮影と現像がありますからね。技術だけではなく自己の感覚もとても重要です。同じように、座禅によって内側を見つめ直したい方は、たった300円で貴重な体験ができますので、是非。