人々の心を捉える儚い桜と日本文化 / 春・夜桜の撮り方
日本で最も早咲きの桜
目次
日本人が愛してやまない桜。日本各地にある桜の名所では、日没後もライトアップされた日中とは異なる妖艶な姿の桜を楽しむことができます。満開の時期が非常に短いため、美しく残してあげるためには何が必要でしょう。この記事では夜桜を撮影する際の重要ポイントを、撮影をはじめたばかりの方にもわかりやすくご紹介致します。
桜と日本文化
桜の花の在り方は、日本人の感性に美しく映ります。日本の歌の中には満開に咲く花そのものよりも、散りゆく花びらの美しさを詠んだものが多いそうです。桜は春を象徴する花として、季節感を形成する重要な風物として愛されています。それでは日本で最も早咲きの静岡県熱海市の「あたみ桜」とともにお楽しみください。
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かたわれどき / Twilight Hour
映画『君の名は。』 の中で一躍脚光を浴びた「かたわれどき」。夕暮れから夜へと変わる一瞬の時間帯のことを指します。日没後に数十分程体験できるマジックアワーと呼ばれる特別な瞬間です。フラッシュを使ってしまうと雰囲気がなくなってしまいますゆえ、そのまま撮影するのが筆者は好きですね。一瞬の情景を写すことができます。
彼の見る世界 / The Way He Looks
写真を撮るという行動は、自分の見ている世界を記録し残すということです。その場所の資源を有効活用し、鑑賞者の方にも特別な時間を過ごして欲しいと願うのであれば綺麗に写し届けてあげたいですね。高画質に夜桜を撮影するポイントは三脚です。手持ちではどうしてもブレてしまうため、できれば三脚があると良いですね。
夜桜に見惚れて / Fascinating Cherry Blossom
絞り値によって背景のボケ方を大きく変化させることができます。撮影モードはマニュアル露出か絞り優先で撮影し、フォーカスはMF/AFのどちらでも問題ありません。ISO感度は手動でなるべく低い数字を選び抑えると、可憐な桜をより良い画質で残してあげることができます。
糸川を歩く / Walking in Itogawa
日本で最も早咲きのあたみ桜は毎年1月上旬~2月に咲くインド原産の寒桜の一種です。明治4年頃イタリア人によってレモン・ナツメヤシとともに熱海にもたらされ、その後先人たちの努力により増殖が行われました。良い写真には写真家だけの技術ではなく、その場所の資源や、歴史の縦軸等を含めた多面的な要素を含んでいるということですね。
糸川散策 / Strolling in Itogawa
坂道が多い熱海の街。中心部を流れる糸川沿いにあたみ桜が植えられています。春の訪れを楽しみながら自由に感じた感覚を写真に描写します。そこには正解などありません。撮ることを楽しみ、街や人々や自然に敬意を払いながら写すことがなによりも大切です。
百花繚乱 / All Kinds of Flowers Profusion
カメラやスマホでは被写体の造形に合わせて縦構図と横構図で切り取ることができます。縦構図と横構図の使い方は、撮影者の気持ちを表現する手段として活用するのが良いですね。「あっ、ここはとても綺麗だな」と感じたら縦構図と横構図で撮られてみてください。きっと、違う感覚を抱けることと思います。
モノクロ桜 / Cherry Tree of Monochrome
桜と言えば白やピンクでふわふわと柔らかく可愛らしい印象がありますが、1つの色を意味するモノクロームへ生まれ変わらせると、また違った印象に仕上げることができます。単色にすることで光と影を重視し、クラシックでヴィンテージな雰囲気を醸し出すことができます。色彩がある桜とまた一味違った味となるのですよ。
水鏡桜 / Sakura In The Reflecting Water
水たまりに揺れる水鏡桜。すでに知られている観光名所を撮るのも楽しいですが、自分が美しいと感じたものを自信を持って、そのまま写真に残し届けるというのも撮影に新しい面白さを見出すことができます。写真とは、その人が見る視点の芸術であると感じています。高級なカメラかレンズかどうか、設定が正しいかどうかなど大した問題ではありません。スマホでも記憶に残る写真が撮れるのです。是非、あなた自身を楽しまれてください。
最後に
各地から桜の開花情報が届くのは後少し。春本番の季節を少し先取りした形となりました。桜は長い冬の後に健気に咲き、華やかに咲き誇るのは一瞬です。短い命なのかもしれません。それなのに、潔く散るその姿を私たち日本人は美しく感じるのだろうと思います。日本の文化は、諸行無常の概念を含む仏教の影響と結び付いたものが多く見られます。日本固有の自然情緒や精神と桜が合っているのです。今年の春はこれからです。是非、撮影を通し夜桜の一期一会を味わってみてくださいね。